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広島とパンサー向井慧 - 競輪、笑い、そして"チャリ"が結ぶ特別な縁

By James Holden

広島とお笑いトリオ「パンサー」の関係を語るとき、単なるロケ地の話では終わらない。2026年、ニッポン放送のラジオ特番がアーバンサイクルパークス広島の広島競輪場を舞台に動き出し、向井慧というパーソナリティが広島という都市と、より深い接点を持ち始めた。全国区の人気芸人と、歴史ある港町が交わる場所には、笑いと"チャリ"をめぐるユニークなストーリーがある。

パンサー向井慧と広島競輪場の公開収録イメージ

パンサーとは - 吉本が誇る3人のトリオ

パンサーは、吉本興業東京本社(東京吉本)所属のお笑いトリオで、2008年6月16日に結成された。メンバーは大ボケ・ネタ作り担当の菅良太郎、ツッコミ担当の向井慧、そして小ボケ担当の尾形貴弘の3人で構成される。それぞれがかつて別のコンビやトリオで活動し、解散を経験した上でパンサーとして集った。いわば"再起の3人組"だ。

3人全員が過去にグループを組んで解散した経験を持つ。尾形はかつてチョッパーMASAとコンビ「グレートホーン」を組んでいたが解散し、ピン芸人「サンキュー尾形」として活動。うまくいかず、引退して地元の仙台でラーメン二郎をやろうとまで思っていたという。それほどの崖っぷちから這い上がった人間が、今やテレビ・ラジオで活躍する姿には重みがある。

向井はかつてトリオ「ブルースタンダード」で活動していたが2008年3月に解散し、その後NSCの先輩にあたる菅良太郎と尾形貴弘とともに「パンサー」を結成した。ツッコミという役割ひとつとっても、向井のスタイルは単純ではない。

向井慧という存在 - 名古屋育ちのラジオスター

向井慧は愛知県名古屋市熱田区出身で、小学校高学年のときにはすでに芸人を目指していた。中学生の頃に聴いたラジオをきっかけにほぼ毎日ラジオを聴くようになり、芸人を志した。明治大学政治経済学部を卒業した後、2005年にNSC東京校に入学という異色の経歴の持ち主でもある。

2015年にはよしもと男前ランキング1位に選出され、趣味は散歩、カラオケ、暗記と多岐にわたる。CBC「チャント!」、AbemaTV「AbemaPrime」、フジテレビ「潜在能力テスト」など出演番組は多数。バラエティから情報番組、さらにはラジオまで守備範囲は広い。

2022年春からはTBSラジオにて平日朝ワイド番組『パンサー向井の#ふらっと』のパーソナリティを担当し、同時期にはラジオだけで5本のレギュラーを抱えていた。「令和のラジオスター」とも呼ばれるゆえんだ。競輪への造詣も深く、それが広島との縁を生むことになる。

向井慧のラジオ番組と競輪への熱意

広島競輪場で実現した公開収録 - 「チャリで60分」の全貌

2026年、パンサーと広島の関係は新たな局面を迎えた。ニッポン放送の特別番組『チャリロト presents パンサー向井のチャリで60分』の公開収録が、2026年6月28日(日)にアーバンサイクルパークス広島内の広島競輪場にて行われた。競輪場という独特の空間で、向井がリスナーと直接向き合うという企画は、放送前から大きな話題を呼んだ。

この番組は、向井慧が「競輪」「自転車競技」「日常の自転車ライフ」など"チャリ"にまつわるトークを繰り広げるニッポン放送のレギュラー番組『チャリロト presents パンサー向井のチャリで30分』(毎週月曜17時40分~18時10分)の特別番組として企画された。60分という拡大版フォーマットで、広島の地ならではのコンテンツがたっぷり詰め込まれた。

レギュラー番組では、競輪とアーバンサイクルスポーツが融合する複合施設「アーバンサイクルパークス広島」のグランドオープンを記念し、4月と5月に「広島盛り上げスペシャル」と題して放送。かが屋、ザ・ギース、コットンら広島にゆかりのあるゲストが出演した。そのシリーズの集大成として、今回の公開収録が実現したわけだ。

広島よしもと「メンバー」との共演 - 地元の笑いと全国の笑いが交わった瞬間

番組パーソナリティーを務める向井慧に加え、ゲストとして広島よしもと所属のお笑いコンビ・メンバー(山口提樹&潮圭太)を迎えて、軽快なトークや観客参加型企画で会場を盛り上げた。広島を拠点に活動する地元密着型のコンビと、全国区の向井との化学反応は予想以上のものだった。

当日は台風接近による天候の影響も懸念されていたが、無事に開催され、多くのファンが会場に駆けつけた。向井は「すごい盛り上がり!」「広島競輪場でこんな黄色い声援が!?」と驚きながらも笑顔を見せた。競輪場という非日常的な会場が、笑いの舞台へと変わった。

向井は以前から「メンバーのネタが大好き」とさまざまな場面で公言していたことが話題に上がり、さらに菅(良太郎)もメンバーのファンだと明かされた。メンバーからは「以前パンサーの皆さんにお会いした時に"俺の方が好きだ"というケンカが始まったことがある」というエピソードが披露され、会場の笑いを誘った。

メンバーとのトークでは幼なじみコンビならではの関係性や、広島を拠点に活動している現在の状況、SNSや動画サイトで話題となった歌ネタが生まれたきっかけにも話が及んだ。実は歌ネタは、最初はコントとして作っていたのだという。芸人同士だからこそ引き出せる本音のトークが、ラジオを通じて全国へ届いた。

アーバンサイクルパークス広島での公開収録イベントの様子

広島色のトークが炸裂 - 「広島がんす」から地元おすすめスポットまで

放送では広島ならではのおすすめスポットや、広島市草津発祥の名物「広島がんす」を試食するなど、ローカル色あふれるトークで会場を沸かせた。東京のスタジオでは絶対に生まれない空気感がそこにあった。

「広島がんす」とは、魚のすり身に玉ねぎや唐辛子を混ぜてパン粉で揚げた広島の郷土料理。地元では長年愛されてきたB級グルメのひとつだ。全国的な知名度はまだ高くないが、こうした番組を通じて少しずつ話題が広がる。パンサー向井の発信力が、広島の食文化にも一役買った形だ。

続く「スーパー自転車トーク」コーナーでは、ゲストに自転車にまつわる思い出やエピソードを語ってもらい、島根出身のメンバー2人は「地元では自転車は必須だった」と振り返った。地域性が絡む話題は、ラジオならではのリアルな聴き応えをリスナーに与えた。

放送と聴取方法 - 全国から楽しめる広島発のラジオ

公開収録の模様は60分の特別番組としてニッポン放送で2026年7月5日(日)、RCC中国放送で7月12日(日)に放送された。ラジオはAM・FMの両波で聴取でき、さらにradikoにも対応している。

AMラジオ、FMラジオのほか、スマホやPCからはradikoで聴くことができ、放送地域以外の方でもradikoのエリアフリー機能で楽しむことができる。広島に住んでいなくても、全国どこからでも広島の空気を感じられるのが現代ラジオの強みだ。

競輪とパンサー向井の深い関係

向井慧は競輪に精通しており、『パンサーの「競輪、はじめました。」』(BS日テレにて2018年3月まで放送)への出演をきっかけに競輪番組への出演が増えた。競輪という競技の奥深さを広く伝えてきた向井にとって、広島競輪場はまさに"ホームグラウンド"とも言える場所になりつつある。

競輪は自転車競技の一種で、選手同士の駆け引きや戦略が見どころのスポーツだ。近年は若い世代へのアプローチとして、エンタメとの融合が積極的に図られている。その流れの中で、パンサー向井という芸人の存在は競輪界にとっても貴重なブリッジ役となっている。向井自身が本物の競輪ファンであることが、コンテンツの説得力を高めている。

パンサーの多面的な活躍 - テレビからラジオまで

パンサーはキングオブコントで2011年に初めて準決勝に進出し、その後4年連続で準決勝まで進出している。お笑いの技術としても評価が高い。トリオとしてのネタはもちろん、各メンバーが個性的なソロ活動を展開しているのもパンサーの特徴だ。

レギュラー番組には「よるのブランチ」(TBSテレビ)があり、向井はMC、尾形と菅はコーナーレギュラーとして出演している。それぞれが異なるフィールドで存在感を放ちながら、パンサーというブランドを維持し続けている。このバランス感覚は、長期的な活躍の秘訣とも言える。

パンサー菅良太郎・尾形貴弘・向井慧のバラエティ活動

広島という舞台の可能性 - 地方と全国をつなぐ笑いの力

今回の公開収録が示したのは、広島という都市が「観光地」や「歴史の街」というだけでなく、エンタメの発信地にもなれるという可能性だ。アーバンサイクルパークス広島のような新施設が整備されることで、全国規模のメディアイベントを誘致できる土台が生まれている。

パンサーのような東京を拠点とするトップ芸人が地方の競輪場で公開収録を行い、地元の吉本芸人と共演して広島の名物グルメを試食する。一見シンプルに見えるこの流れが、実は地域活性化の理想的なモデルケースだ。笑いは言語も文化の壁も軽々と越える。広島とパンサーの接点は、その証左でもある。

公開収録は競輪場への入場とイベントへの参加が無料で、事前申込みなしで自由に観覧できた。ハードルを低くすることで多くの市民が気軽に参加できる環境を作り、広島の笑いファン層を広げる試みとしても成功したと言えるだろう。

広島 パンサー - これからの展開に注目

パンサー向井慧と広島の関係は、2026年の公開収録を機にさらに深まりつつある。向井が積み上げてきた競輪番組でのキャリア、ラジオパーソナリティとしての信頼、そして笑いの現場で培った観客との距離感。それらすべてが広島という舞台で一つに重なった。

広島に「パンサーが来る」というだけで地元ファンが動く。そんな存在感をパンサーは着実に築いている。競輪と笑いというユニークな組み合わせが、これからも広島と全国の視聴者・リスナーをつなぎ続けるだろう。次の企画がどんな形で実現するか、注目する価値は十分にある。